子供名義の貯金は「名義預金」として課税される?税務署に指摘されないための贈与の鉄則
「子供のために」とコツコツ貯めてきたその預金、実は将来、重い税金の負担になってしまうかもしれません。
親が子供や孫の名義で口座を作り、本人に内緒で貯金をしているケースは多いですが、これは税務署から**「名義預金」**とみなされるリスクが非常に高い行為です。名義預金と判定されると、せっかくの節税対策が無意味になるばかりか、追徴課税という手痛いペナルティを受けることもあります。
この記事では、子供名義の貯金がなぜ危ないのか、そして税務署に「正当な贈与」と認めてもらうための鉄則を詳しく解説します。
1. 税務署が狙う「名義預金」とは何か?
「名義預金」とは、口座の名前は子供や孫になっているものの、実質的な所有者は「お金を出した人(親や祖父母)」であると判断される預金のことです。
税務署は相続が発生した際、亡くなった方の過去10年分以上の銀行口座の動きを詳細に調査します。「親の口座から多額の資金が移動しているのに、子供の口座にそのまま残っている」「子供に収入がないのに多額の預金がある」といったケースは、真っ先に疑いの目が向けられます。
なぜ「名義預金」だと困るのか?
名義預金とみなされると、それは「子供の財産」ではなく「亡くなった親の財産(遺産)」としてカウントされます。その結果、以下のトラブルが発生します。
相続税が跳ね上がる:本来非課税だと思っていた資金に課税される。
ペナルティが発生する:申告漏れとして「過少申告加算税」や「延滞税」が課される。
遺産分割協議が揉める:他の兄弟から「隠し財産だ」と主張され、トラブルの火種になる。
2. 「名義預金」と判定される4つのNGパターン
税務署は、主に以下のポイントをチェックして「これは名義預金だ」と断定します。
管理者が親である:通帳、印鑑、キャッシュカードを親が持っている。
本人が知らない:子供や孫が、自分名義の口座があることや残高を知らない。
印鑑が親と同じ:口座開設時の届出印が、親のメインバンクと同じ印鑑である。
自由に使えない:名義人である子供が、自分の意思で自由にお金を引き出せない状態にある。
3. 税務署に指摘されないための「贈与の鉄則」
「良かれと思って貯めていたお金」を、正当な「贈与」として認めてもらうには、客観的な証拠を残すことが不可欠です。
鉄則①:贈与契約書を作成する
「あげました」「もらいました」という互いの合意を、書面で残しましょう。
日付、金額、贈与者と受贈者の署名・捺印を明記します。
子供が未成年の場合は、親権者が「法定代理人」として署名します。
毎年行う場合は、その都度作成するのが理想的です。
鉄則②:銀行振込で「記録」を残す
現金を手渡しで預金するのではなく、必ず**親の口座から子供の口座へ「振込」**を行いましょう。銀行の通帳に振込履歴が残ることで、「いつ、誰が、誰に、いくら送ったか」という動かぬ証拠になります。
鉄則③:通帳・印鑑を本人に渡す
これが最も重要です。子供が成人しているのであれば、通帳と印鑑、キャッシュカードは本人に管理させてください。
「無駄遣いされるのが怖い」という気持ちもわかりますが、**「本人が自由にお金を動かせる状態」**こそが、贈与が成立している最大の証明になります。
鉄則④:子供自身の印鑑を使う
口座開設の際は、親の印鑑を使い回さず、子供専用の印鑑を新調して登録しましょう。
4. 暦年贈与の「110万円ルール」と最新の注意点
年間110万円までの贈与が非課税になる「暦年贈与」は非常に有効な対策ですが、近年の法改正により注意が必要です。
「持ち戻し期間」の延長
亡くなる前に行われた贈与を相続財産に加算して計算する「持ち戻し期間」が、3年から7年へと段階的に延長されています。つまり、亡くなる直前の対策だけでは不十分で、より早い段階から計画的に資産を移していく必要があります。
毎年決まった額を贈与する場合の注意点
毎年ピッタリ100万円ずつ、10年間にわたって贈与し続けると、最初から「1,000万円をあげる約束をしていた(定期贈与)」とみなされ、多額の贈与税がかかるリスクがあります。
毎年、贈与する時期や金額を少しずつ変える
毎年、贈与契約書を新しく結び直す
といった工夫が有効です。
まとめ:資産を守るための「一工夫」を
子供名義の貯金は、正しい手順さえ踏めば素晴らしい教育資金や将来の支えになります。しかし、無計画な貯金は将来の「税金爆弾」になりかねません。
今すぐ、家族で口座の存在を共有する
通帳や印鑑の管理を本人(または適切な形)に移す
過去の分も含め、贈与の記録を整理する
まずはこの3点から始めてみましょう。不安な場合は、相続に強い税理士などの専門家に相談し、現状の口座が「名義預金」に該当しないかチェックしてもらうことをおすすめします。
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