【死後事務委任契約】自分でできる範囲とプロに任せるべき範囲|費用を抑える終活の進め方


「自分が亡くなった後、残された部屋の片付けや公共料金の解約は誰がしてくれるのだろう?」

「終活をプロに頼みたいけれど、高額な費用がかかるのは避けたい……」

おひとりさまの終活において、最も現実的で切実な備えが「死後事務委任契約」です。これは、自分の死後に発生する膨大な事務手続きを、あらかじめ特定の人や団体に託しておく仕組みです。

しかし、すべてを業者に丸投げしてしまうと、費用は数百万円単位に膨らむこともあります。賢く終活を進めるコツは、「自分でできること」と「プロに任せるべきこと」を明確に分けることです。この記事では、費用を最小限に抑えつつ、最大限の安心を得るための具体的な戦略を解説します。


1. 死後事務委任契約とは?なぜ今必要なのか

通常、人が亡くなると、親族が葬儀の手配や遺品整理、各種解約手続きを行います。しかし、身寄りがない場合や、親族に迷惑をかけたくない場合、これらの事務を行う「法的権限」を持つ人がいなくなってしまいます。

死後事務委任契約を結んでおくことで、第三者があなたに代わって、役所への届け出から住居の明け渡しまでを法的に正当に行えるようになります。これは、おひとりさまにとっての「安心の予約票」とも言える重要な契約です。


2. 【節約のポイント】自分でできる範囲(生前準備)

プロに支払う報酬を抑えるためには、生前の「身軽な整理」が欠かせません。以下の作業を自分で進めておくだけで、代行費用の見積もりは劇的に下がります。

徹底した「断捨離」と遺品整理の予約

代行費用の中で大きな割合を占めるのが「遺品整理代」です。部屋の荷物が多いほど、人件費と処分代がかさみます。

  • 自分でやること: 家具や家電を減らし、必要最小限の物で暮らす。

  • 効果: 業者に依頼する際の「作業時間」を短縮し、数十万円単位の節約になります。

「財産目録」と「連絡先リスト」の作成

業者がゼロからあなたの財産や交友関係を調査するのは、多大な時間(=コスト)がかかります。

  • 自分でやること: 銀行口座、証券、保険、SNSのアカウント、解約が必要なサブスクリプション、訃報を伝えてほしい人のリストをノートにまとめておきます。

  • 効果: 調査費用を抑え、手続きの漏れによる延滞金などのリスクを防げます。

デジタル遺品の整理

スマートフォンのロック解除やパソコンのデータ消去は、専門知識が必要なため代行費用が高くなりがちです。

  • 自分でやること: パスワードの管理を専用のアプリや紙で残し、不要なデータは生前に削除しておきます。


3. 【安心の確保】プロに任せるべき範囲(専門領域)

一方で、素人や知人では対応が難しく、プロに任せないとトラブルに発展しやすい領域があります。

法的な手続きと役所への届け出

死亡届の提出、健康保険や年金の資格喪失手続きなどは、期限が厳格に決まっています。また、賃貸物件の解約に伴う原状回復費用の交渉などは、法的な知識を持つプロ(行政書士や司法書士)に任せるのが安全です。

葬儀・納骨の執行

遺体の引き取りや火葬の手配は、病院や火葬場とのやり取りが必要なため、24時間体制で動ける専門業者(身元保証・終活代行団体)のサポートが不可欠です。

預託金の管理と支払い清算

死後に発生する未払いの入院費や施設費の清算は、信頼できる第三者が行う必要があります。プロに「支払い事務」を委任しておくことで、滞りなく清算を終えることができます。


4. 費用を抑えるための「ハイブリッド戦略」

賢い終活者は、以下の3つのステップで契約を構成します。

  1. コンサルティングと契約作成のみプロに依頼

    契約の骨子作成と公証役場での手続き(公正証書化)はプロに任せ、法的な有効性を確保します。

  2. 実行部分(実作業)を細分化する

    「葬儀は火葬のみの直葬にする」「遺品整理は〇〇社に指定して見積もりを取っておく」といった具合に、具体的に指定することで、代行会社の仲介手数料を抑えます。

  3. 預託金を最小限にする工夫

    あらかじめ生命保険(葬儀保険)に加入し、受取人を代行会社や信託銀行に指定しておく手法もあります。これにより、まとまった現金を今すぐ預ける負担を減らせる場合があります。


5. 死後事務委任契約にかかる費用相場(節約版)

すべてを丸投げした場合と、自分で準備をした場合では、以下のような差が出ることがあります。

項目丸投げの場合準備をした場合
基本報酬(契約時)30万円 ~ 50万円10万円 ~ 20万円
遺品整理費用50万円 ~10万円 ~ 20万円
葬儀・供養費用100万円 ~20万円 ~ 50万円
合計目安180万円 ~40万円 ~ 90万円

※数値は一例です。住環境や希望する葬儀の形式により異なります。


6. まとめ:自分にしかできない「最後の手入れ」

死後事務委任契約は、プロに丸投げするためのものではなく、**「自分の意志を最後まで貫くためのツール」**です。

生前のうちに自分でできる整理をコツコツと進めておくことは、費用の節約になるだけでなく、自分の人生を振り返り、身軽に今を楽しむことにもつながります。

「何から手をつければいいか分からない」という方は、まずはプロに「自分が最低限任せたい範囲」を相談し、見積もりを出してもらうことから始めてみてください。それが、コストを抑えつつ、最高の安心を手に入れるための近道です。


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