【相続トラブル】財産が少なくても「争族」になる?親に遺言書を書いてもらうための自然な切り出し方


「うちは豪邸があるわけじゃないし、預貯金だって普通。相続争いなんてドラマの中の話でしょ?」

そう思っている方にこそ、知ってほしい現実があります。実は、裁判所での相続争いのうち、約3割が「1,000万円以下」、約4割が「5,000万円以下」の遺産額で起きています。つまり、資産の多い少ないに関わらず、どこの家庭でも「争族」になるリスクを秘めているのです。

特に、分けにくい「実家(不動産)」しかない場合や、介護を担った子供とそうでない子供の間で感情的な対立が生まれるケースが後を絶ちません。

この記事では、親に遺言書を書いてもらうための「角が立たない切り出し方」や、トラブルを未然に防ぐための具体的な対策を詳しく解説します。


なぜ「財産が少ない家」ほど揉めやすいのか?

「うちは仲が良いから大丈夫」という過信が、皮肉にもトラブルを招くことがあります。

1. 不動産は「等分」できない

現金なら1円単位で分けられますが、実家をバッサリ半分に切ることはできません。「誰かが住み続けるのか」「売却して分けるのか」という判断において、それぞれの生活状況(住宅ローンの有無、子供の教育費など)が絡み合い、合意形成が難しくなります。

2. 「特別寄与」への不満

「長年、私だけが親の介護をしてきた」「兄さんだけ大学の学費を出してもらった」といった過去の積み重ねが、親の死をきっかけに一気に噴出します。遺言書がない場合、法律で決められた割合(法定相続分)で分けることになりますが、これが「不公平感」を生む原因となります。

3. 残された通帳や不明な支出

親の死後、通帳を見て「この不明な引き出しは何?」と疑心暗鬼になることも。生前に本人が意思を示していないことが、兄弟姉妹の信頼関係を壊す引き金になってしまいます。


親に「遺言書」を提案する際の3つの鉄則

「遺言書を書いて」と直球で伝えると、親は「死ねと言っているのか」「財産を狙っているのか」と守りに入ってしまいます。大切なのは、伝え方の「温度感」です。

鉄則1:「親のため」であることを強調する

「お父さんの意志が分からないと、私たちが迷ってしまう」「お母さんが大切にしてきたものを、お母さんの望む形で残したい」と伝えます。遺言書は、残された子供たちへの**「最後の手紙であり、お守り」**であることを理解してもらいましょう。

鉄則2:「自分の準備」を先に見せる

「実は私も、自分に万が一のことがあったときのために、エンディングノートを書き始めたんだ」と自分の話題から入ります。「書いてみたら意外と頭が整理されてスッキリしたよ」とポジティブな感想を添えることで、親の抵抗感を下げることができます。

鉄則3:第三者のエピソードを活用する

「近所の〇〇さんが、相続の手続きですごく苦労したみたいで……」「テレビで遺言書特集を見て、準備しておくのが今の常識なんだって」と、世間のニュースや知人の話をきっかけにします。


失敗しないための「遺言書」作成ステップ

遺言書にはいくつか種類がありますが、確実性を求めるなら以下のポイントを押さえましょう。

自筆証書遺言(自分で書く)

手軽に書けますが、形式不備で無効になるリスクや、紛失・改ざんの恐れがあります。最近では「法務局での保管制度」を利用することで、これらのリスクを抑えることが可能になりました。

公正証書遺言(プロに任せる)

公証役場で作成するもので、最も安全で確実な方法です。費用は数万円〜かかりますが、家庭裁判所での検認手続きが不要で、死後の手続きが圧倒的にスムーズになります。

「付言事項」に想いを込める

遺言書には、財産の分け方だけでなく「なぜそう分けたのか」という理由を書く「付言事項」という欄があります。「介護をしてくれた長女に感謝している」「兄弟仲良くしてほしい」といった親の生の声があるだけで、納得感が高まり、争いを防ぐ大きな力になります。


まとめ:遺言書は家族への「最高のプレゼント」

相続は、お金のやり取りである以上に「感情のやり取り」です。

親が遺言書を残すことは、子供たちが相続手続きという重労働で疲弊するのを防ぎ、家族の絆を未来へ繋ぐことと同義です。

「まだ先のこと」と思わず、元気なうちに、笑顔で話せるうちに、将来のことを語り合ってみてください。

親の本当の想いを知ることは、子供にとっても、これからの人生を歩む上での大きな支えになるはずです。


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