終活でやるべきことの優先順位
終活の優先順位に明確な決まりはありませんが、「始めるハードルの低いもの」から「家族の負担軽減につながるもの」「法的・金銭的に重要なもの」へと段階的に進めていくことが推奨されます。
ここでは、終活初心者が後悔なく進めるための優先順位を3つのフェーズに分けて解説します。
終活は、自分の人生を整理し、これからの人生を充実させるための活動です。そのため、まずは精神的な準備と現状把握から始めるのが最も重要です。
【最優先フェーズ】準備のハードルが低い項目
この段階の目的は、「終活を始めるきっかけを作り、モチベーションを維持すること」と「自分の意思を整理すること」です。法的な効力は問わないため、手軽に始められます。
優先順位 | 項目 | 目的とポイント |
1位 | エンディングノートの作成 | **【最も着手しやすい項目】**自分の考えや希望を書き出すことで、頭の中が整理され、次のステップが見えてくる「羅針盤」となります。まずは、基本情報や連絡先など、簡単な項目から埋めましょう。 |
2位 | 身の回りの整理(断捨離) | 【今すぐできる家族の負担軽減】衣類や日用品など、不要なものを少しずつ処分(断捨離)し、物理的な空間を整理します。これは、残された家族の遺品整理の負担を最も軽減する行為です。 |
3位 | 家族や大切な人との話し合い | 自分の希望(医療、介護、葬儀など)について、家族にあいまいでも構わないので伝える機会を持つこと。終活で最も後悔するのは「伝えていないこと」です。 |
【次優先フェーズ】家族のための情報の「見える化」
この段階の目的は、「もしもの時」に家族が困らないよう、すべての情報を整理し、管理しやすい状態にすることです。
優先順位 | 項目 | 目的とポイント |
4位 | 財産目録の作成 | **【家族の金銭トラブルを防ぐ】預貯金、不動産、株式、保険、借金などの財産をすべてリスト化します。特に「口座の有無」と「保管場所」**を明確にすることが最重要です。 |
5位 | 医療・介護の希望の明確化 | **【自分の尊厳を守る】**延命治療の希望の有無、認知症になった場合の介護方針など、ご自身の判断能力があるうちに意思表示をしておきます。 |
6位 | 重要書類・デジタル遺産の整理 | 【死後の金銭的損害を防ぐ】保険証券、年金手帳などの重要書類を一か所にまとめます。また、ネット銀行やサブスクサービス、SNSなどのデジタル情報とパスワードをリスト化し、管理方法を定めます。 |
【最終フェーズ】法的・金銭的な準備と具体化
この段階の目的は、専門家の力を借りながら、整理した希望に法的効力を持たせたり、金銭的な計画を確定させたりすることです。
優先順位 | 項目 | 目的とポイント |
7位 | 葬儀・お墓の具体的な決定 | 葬儀の形式、規模、費用、そしてお墓(墓地、納骨堂、散骨など)を具体的に決定します。生前契約を検討する場合は、この段階で進めます。 |
8位 | 遺言書の作成 | **【法的な効力を持たせる】**財産分割について明確な意思があり、相続争いを避けたい場合は、遺言書(公正証書遺言が確実)を作成します。資産の状況に応じて司法書士や弁護士に相談しましょう。 |
9位 | 相続税・老後資金の計画 | 資産家の場合、相続税対策を検討します。また、老後の資金計画を立て直し、ライフプランを確定させます。税理士などの専門家への相談が必要です。 |
💡 終活を継続するための秘訣
終活は一気に完了させる必要はありません。負担に感じた時点でストップしても問題ありません。
無理をしない: 一気にやろうとせず、**「今日はこの引き出しだけ」**など、小さな目標を設定して進めましょう。
完璧を目指さない: 完璧なエンディングノートや財産目録は存在しません。まずは6〜7割の完成度を目指し、情報は随時更新していくという意識が大切です。
「いま」を豊かに: 終活は「残りの人生をどう生きるか」を考える活動です。やりたかったことリストを作り、整理を通じて生まれた時間やお金を「いま」楽しむために使いましょう。