遺言書の基本と作成手順:あなたの想いを形に残す


「遺言書って、いつか書いたほうがいいのかな…?」

そう漠然と考えている方は多いのではないでしょうか。遺言書は、自分の財産や大切な人への想いを、法的な効力を持つ形で残すための重要な書類です。遺言書がない場合、財産は法律で定められた相続人が分け合うことになり、あなたの意図しない結果になってしまう可能性があります。

ここでは、遺言書の基本的な知識から、自分で作成できる方法までを分かりやすく解説します。


遺言書の種類と特徴

遺言書には、主に2つの種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、あなたの状況に合わせて選びましょう。

1. 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)

自筆で書く遺言書です。

  • 特徴:

    • 費用がかからない: 弁護士などに依頼する必要がないため、費用はかかりません。

    • 手軽に作成: 思い立ったときに、いつでも書くことができます。

    • 秘密が守られる: 誰にも見せずに保管できます。

  • デメリット:

    • 形式に厳格: すべての文字を自分で書く必要があります。日付や氏名、捺印など、法律で定められた形式に一つでも不備があると無効になってしまいます。

    • 紛失・偽造のリスク: 自分で保管するため、紛失したり、誰かに偽造されたりするリスクがあります。

    • 検認手続きが必要: 遺言書を見つけた家族は、家庭裁判所で**「検認」**という手続きを経る必要があります。これには手間と時間がかかります。

2. 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

公証役場で作成する遺言書です。

  • 特徴:

    • 法的効力が高い: 法律の専門家である公証人が作成するため、形式不備で無効になるリスクがありません。

    • 安全な保管: 公証役場で原本が保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。

    • 検認手続きが不要: 遺言書を見つけた家族は、すぐに手続きを進めることができます。

  • デメリット:

    • 費用がかかる: 公証人に支払う手数料や、必要に応じて弁護士などに支払う費用がかかります。

    • 証人が必要: 2人以上の証人の立ち会いが必要です。


遺言書を作成する際の3つの手順

どちらの遺言書を作成する場合でも、以下の3つの手順を踏むことが重要です。

ステップ1:財産と想いをリストアップ

まずは、ご自身の財産をすべて把握しましょう。

  • 財産のリスト:

    • 預貯金、不動産、有価証券(株式など)、現金、車、骨董品など

  • 誰に何を渡したいか:

    • 「長男に家を継いでほしい」「お世話になった友人に〇〇をあげたい」など、具体的な内容を書き出します。

  • 感謝のメッセージ:

    • 家族や大切な人への感謝のメッセージも書き添えましょう。

ステップ2:遺言書の本文を作成

リストアップした内容をもとに、遺言書の本文を作成します。

  • 書き方のルール:

    • **「遺言書」**と明確に書く。

    • 日付、氏名、捺印は必ず入れる。

    • 財産は「〇〇銀行〇〇支店、口座番号〇〇」のように、具体的に特定できるように書く。

    • **「誰に何を相続させるか」**を明確に書く。

ステップ3:遺言書を保管

作成した遺言書を、安全な方法で保管します。

  • 自筆証書遺言の場合:

    • 法務局での保管制度: 2020年から始まった新しい制度で、法務局が遺言書を保管してくれるサービスです。これにより、紛失や偽造のリスクを減らすことができます。

  • 公正証書遺言の場合:

    • 公証役場で原本が保管されます。

まとめ:遺言書は「最後のメッセージ」

遺言書は、単なる財産の分配方法を記した書類ではありません。それは、あなたが人生の最後に、大切な人へ贈るメッセージです。

  • 形式を守れば、自筆でも有効な遺言書が作れる。

  • 公証役場で作成すれば、より安心できる。

  • 大切なのは、あなたの「想い」を明確に残すこと。

遺言書について迷ったら、まずは専門家(弁護士など)に相談してみるのも良いでしょう。

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